麦から水飴を作ってみる−麦芽水飴−

麦で水飴が作れる事を皆さんご存じだろうか。正確には麦単体が水飴になるのではなく麦芽のジアスターゼ(アミラーゼ)がでんぷんを分解し糖にしてくれるらしい。理科は詳しくないので、その辺の正確なトコロは各自検索して調査して下さい。お店で売ってるあの水飴が自分で作れるなんて面白そうなので試しにやってみた。

材料 大麦 2カップ(これが後に麦芽となる)
   餅米 1kg
   乾燥麦芽 100g
   水 3リットル

1.材料の調達
本来は大麦を発芽させることから始まるのだが、大麦がどこに売っているのか?というところでいきなりつまづく。農家に知り合いはいないし、同じ穀類だからあるかも?という期待を込めて近所の米屋を数軒まわってみるが、押し麦はあってもモミ付きの発芽可能な麦なんてどこにも売っていない。聞いてみると米と違って麦は育成している段階から加工・出荷先がほとんど決まっていて小売店には並ばないらしい。いきなり計画失敗か・・・と落胆するもインターネットで検索すると麦茶用の大麦を焙煎せずに小売りしてくれる所があったのでそちらにお願いした。しかし、大麦カップ2って言われても麦自体の重量がわからない。結局500g注文するが、大麦よりも送料の方が高い。

2-1.麦を発芽させる
麦を水に1日浸水。早く芽が出て欲しい。さるかに合戦のかにと気持ちがシンクロする。ここでの作業は、ざるにあけて濡れたふきんをかける。乾燥しないように霧吹きで水を足しざっと上下を入れ替え、また濡れたふきんをかけておく。という工程の朝出社前と夜帰宅後に繰り返し。乾燥に注意。
水を吸ってふくらんで。
若干変化あり。根か?
根が伸びてきた。ヒョロヒョロと。
今度は芽が伸びてきた。
にょきっと。
毎日ぐんぐん伸びていく姿を見ると植物のすごさを実感する。仕事が終わって家に帰るとまっさきに麦の成長を確認する日々。植物を育てる趣味はなかったのだが、水飴のことなんか忘れてこのまま麦の成長を見続けていたい気分になる。が、芽が15mmほどに生育したので次の工程に移る。

2-2.麦芽を乾燥・粉砕する

麦芽を乾燥。から煎りや電子レンジを使いたい所だが、60度以上にすると糖化力がなくなってしまうらしいので、ざるで自然乾燥にした。

麦芽を殻ごと粉砕。石臼はないのでミルミキサーを使った。粉砕するうちにうっすら熱を持っているのであわてて一時休止。高温に弱いからと自然乾燥にしたのにここで失敗かも・・・と不安になる。それ以後面倒だがなるべく熱くならないよう小分けでミキサーにかけて粉砕した。

出来上がった乾燥麦芽。これで本当に水飴が作れるんだろうか。

3-1.お粥を作る
蓋にのっているのは塩。
餅米を洗い一晩うるかして*13倍の水でお粥状に炊く。しかし、ハプニング発生。強火のままちょっと離れていたらなんだかナベが焦げ臭い。ちょっと焦がしてしまったようだ。慌てる私に母が「火を止めて塩をのせておきなさい」と言う。何を言っているんだ?と困惑する私。母曰く米を炊いていて焦がした時はナベの蓋に塩をのせると焦げ臭さがなくなるそうな。そんなの初耳。不審がりつつも従ってみる。しかし、これって焦げ臭いのが消えるのは部屋のにおいで米は変化しないんじゃないかと思う。

やっぱり焦げているがたいしたことなさそうなので、ナベを移して再開。

3-2.60度で保温する

お粥を60度まで冷まして、2で作っておいた粉砕麦芽を混ぜる。なんだか食べ物とは思えない汚さになっているがここは麦芽を信じるしかない。
 よし60度だね。
タツ炊飯ジャーで保温すると良いらしいがコタツは無いし、炊飯ジャーは使用中なのでナベを二重にして湯煎で温度コントロールすることにしてみた。この温度を保って6時間待つ。ときどき外ナベにお湯を足して温度が下がらないように調整。

3-3.絞って煮詰める

ナベの蓋を開けるとドロドロだったお粥が透明な液体とボソボソの米になっている。ガーゼで絞って液体を別なナベに移し泡をすくいながら煮詰める。

ぐつぐつと煮詰め中。どこまで煮詰めればいいんだ?

まだサラサラ。→とろみがついてきて。→煮詰め完了。1kgの米がこんな少量に。

4.完成

水飴が出来た。煎餅につけて。

途中なんども不安になったが砂糖の水飴より甘みの薄い麦芽水飴が出来た。私の関心は水飴よりも「麦の育成」や「米が焦げた時には塩というのは本当に効果があるのか」ということに移りかけたりもしてますが、作っていてなかなか楽しかったですよ。最短で麦を育てるのに約1週間、水飴にするのに丸1日かかりますが、米以外に芋などでも色々水飴に出来るそうなので夏休みの自由研究にやってみてはいかかでしょう。詳しい作り方はこちらでどうぞ。
http://www.ja-iwate.or.jp/syokuji/0303_senmaya/index2.htm
あと、「焦げた時に塩」を聞いたことがある、それは科学的根拠がある等の情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら教えて下さい。

*1:北海道では水に漬けてふやけさせる事を意味する